多くの共働き家庭にとって、保育園はなくてはならない存在だ。しかし、初めて子供を預けるときは、集団保育のイメージがつかめず、どうしても不安になる。預けることに自信がもてず、仕事を辞めてしまう人も多い。
一人目の広基のとき、僕らの両親も、四カ月の赤ちゃんを保育園に預けることを、かなり心配していた。
そして我々夫婦自身も、保育園についての理解はとても浅かった。「親がいない間、不便・不快・危険がないように面倒をみてもらうところ」「かわいがってもらえれば上出来」といった程度だ。しかしそのイメージは、実際に広基を預け始めてから、どんどん豊かに塗り変わっていった。
初めは寝てばかりの広基だったが、お座りがしっかりするころには、長い時間起きてクラスのみんなと遊ぶようになってきた。すると家でも、僕らに話しかけるような声がぐっと増えたり、知らぬ間にタンバリンを上手にたたいたり……。
そんな広基を見ているうちに、「ただ親の帰りを待っているのではない。保育園で生活し、成長しているのだ」という、あたりまえのことを実感できた。
保母さんたちは、一人ひとりをよく見て、日々の状態を把握してくれる。広基によだれかぶれがでたときなど、よだれかけが一日に七枚も八枚も返ってきた。洗濯は大変だが、きちんと手をかけてくれているのがわかってうれしかった。
給食も充実している。とてもおいしいし、切り方・かたさ・味付けなども年齢ごと丁寧に配慮している。また、おなかの具合が悪くなると、おやつを消化のよいものに変えてくれるなど、対応はとてもきめ細かい。
広基がハイハイをはじめると、朝、園に着けば大喜びで保母さんに突進し、夕方迎えに行けばうれしそうな笑顔で迎えてくれるようになった。「保母さんもパパもママも大好き」という気持ちが感じられ、僕たち夫婦を安心させてくれた。
もちろん園と意見が合わないこともあったが、それは時間をかけて考えを伝え合っていけばいい、と思えるようになった。
今では僕らの両親も、保育園育ちの広基と尚紀の明るい笑顔がお気に入りだ。よい保育園に巡り合い、すばらしい生活の場を子供たちにプレゼントできた。