一月二十八日、妻が産休明けで職場復帰してから五日になる。上の広基を保育園に送り、小走りに帰ってくると、尚紀はすやすやと寝息を立てている。さあ登園というときに尚紀が寝てしまったので、ベビーベッドに置いていったのだ。園に連れていってかぜをもらうより、寝ていた方が尚紀もいいだろう。二人目だと、こういうところでビクビクしなくなる。
煮沸器からほ乳ビンを出し、自然に冷めるよう熱湯を入れ、家事の続きをする。洗濯物を干していたら、起きた尚紀と目が合った。二秒ほどの沈黙のあと「ぎゃぁぁ」と泣き出す。時計を見たら十時半。ほ乳ビンに粉ミルクを入れ、おむつを替えたら授乳タイムだ。尚紀はのんびりと二十分近くかけてミルクを飲む。終わったら、肩の上にあごを乗せる形にたて抱きにし、げっぷが出るまで背中をとんとんする。
今日はちょっとおしりが赤いので、日光浴をしてやることにする。幸い天気もいい。窓から長く差し込む冬の日差しの中に座いすを置いて、そこに僕が座る。バスタオルと布おむつをあぐらの上に重ねて敷き、その上に上半身は日陰になるようにして尚紀をうつぶせに置く。おむつを取り、赤いところをお湯ぶきしてから、おしりによく日が当たるようにしてやると、気持ちよさそうにウトウトとしている。こっちもポカポカとひなたぼっこだ。
こうしてひざの上の尚紀を見ながらのんびりしていると、僕と尚紀の二人の時間が、お互いの中にしみ込み合っていくような気がする。いつか子供が巣立った後、こういう時間を懐かしく思い出すのかなぁ。
日に当たり過ぎる前に、おしりをしまってやる。もう寝はじめているので、そっとベビーベッドに移す。今日はいつごろ起きるだろう。昨日の午後は、はっきり目が覚めていたので、抱っこして一緒に遊んだ。日に日に表情が豊かになり、のぞき込めば目を合わせて笑い返してくれるのがうれしい。赤ちゃんは、一緒にいるとどんどんかわいく見えるような魔法を持っているらしい。ぷにぷにとゆるんだほっぺたを見ていたら、そんな気がした。
さあ、洗濯物を干し終われば僕の自由時間だ。