育休父さんの成長日誌
朝日新聞朝刊 家庭面 (毎週木曜)連載
脇田能宏担当分: 1997年10月2日〜1998年1月29日
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【家事と子育て】
今回は、育児とは切っても切れない、家事について妻に書いてもらった。
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子供が生まれる前、夫はほとんど頼まれた家事しかやりませんでした。それさえ「明日するから」とぐずぐず先延ばししたり、理屈をつけてはしぶったりしてよくケンカになりました。私も、いちいち頼むより自分でやった方が早いと思い、ついつい偏ったままの生活を続けていました。
一人目が生まれた後、私の育児短時間勤務が終わると、交代で保育園のお迎えにいくようになりました。すると、子供と一緒に帰れば晩ごはんを作って食べさせないわけにはいかないし、洗濯も毎日しないと保育園に持っていくおむつカバーはなくなってしまう。家事はいやおうなしに夫にも迫ってくるようになりました。「明日」といっている場合でなくなったわけです。そんな生活を続けるうちに、平日の家事については「やれる方が自然にやる」ようになってきました。
問題は週末でした。片付け、掃除、縫い物など普段しない家事がたまっているけれど、今すぐでなくてもいい。するととたんに夫は腰が上がらなくなり、以前の夫に戻ってしまうのです。家事には慣れてきたし、半分やろうと頭では考えているのに、なぜこうなるのでしょうか。なかなかわからなかったのですが、ふと気づきました。「私に見えている家事が夫には見えないのだ」と。
夫は洗濯・料理・掃除機かけなどは「見える」ようになったけれど、落ちている靴下を拾う、小銭をそろえて集金袋に入れる、生ゴミ入れをきれいにする、といった細かい家事が見えていないのです。ひとつずつはほんのささいな手間でも、山のようにあって時間がかかること……。
見えないものを見えるようにするには、第一責任者になってみるのが一番です。夫の育休は状況を変えるチャンスだと期待していました。実際にはそう魔法のように目覚めるということはありませんでしたが、「だれもやらなければ、いつまででもそのままなんだ」ということは体験できたようです。少なくとも靴下は拾うようになりました。
(電機メーカーエンジニア) | イラストを見る |
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