二月二十七日、授乳の後に尚紀がウンチをしたのでおむつを替えた。黄色く、ほこほことしたとてもいいウンチだ。寒さに負けず、今日も体調はいいようだ。尚紀は便質に粘りがあるので、漏れなくて助かる。広基のときは、もっとゆるかった。背中に漏れて「シーツまで全取り替え攻撃」をよくやられたものだ。
「ウンチのおむつも替えるんですか?」とよく聞かれる。「ええ、もちろん」と答えると「すごいですねぇ」とほめる人がいる。信じられないといった顔で「でも、本当にウンチのおむつを替えるんですか?」と問い返す人もいた。「だって妻が帰るまで放っといたらお尻が真っ赤っかですよ」と答えたが、それでも首をかしげていた。
確かにウンチは臭いが、だから替えずに済ませようと考えたことはなかった。育児の中で特に重労働というわけでもない。なぜこんな反応が返ってくるのか不思議だったが、調べてみたら、ウンチのおむつを替える父親は実際かなり少ないらしい。妻に頼まれても「できない」と断ったりするそうだ。
自分のは拭けるのだからやってやれないはずはない。女性の方が臭くて汚いものの始末に向いているということもないだろう。多くの人は子供ができて初めておむつ替えをするのだから、経験にも差はない。みんな、おむつを開けている最中にオシッコの噴水をされたり、お尻丸出しのまま逃げ出されたり……。そうやって子供と関わってきたのだ。できない、というのは、そういった子供との生々しい関わりを、嫌なところだけ「おまかせ」で逃げてしまっているようで、少し悲しい。
ただこういった、日常の面倒な世話はお母さんの仕事、という思い込みは、まだまだ根強い。尚紀のよだれかぶれを診てもらいに病院にいったとき、先生はしきりと「おかあさまは……」と言っていた。目の前に親の僕がいるのに、である。世間も、ときには妻さえも、まあこれは母親の役目だから、と思っているのだから、これは父親本人だけの問題ともいえない。
ウンチのおむつ。においを我慢して替えてみると、ちょっと人生が変わるかもしれない。