§1 男は忙しいから家事できない?? −男性の家事・育児を考える−
アンケート調査より
 3 調査結果  3. 家事・育児共有を左右するものは?

結果4 その他の要因 ─ 妻が年上の方が共有度が高い

 妻・夫の就労状況、家事・育児に対する意識の他に、どのような要因が家事共有度・育児共有度に関係するかを検討してみます。

1. 妻からの家事・育児共有の要求
 ─ 口頭で家事・育児共有を求めても、効果があるとは限らない

 妻から夫に家事・育児をして欲しいと頼んでも、残念ながら、効果があるとは限らないようです。
 調査結果では、「して欲しい」と言うほど家事共有度・育児共有度が上がるということはなく、むしろ、「して欲しい」とよく言われる夫ほど共有度は低いという結果になりました。女性の就労別にみても、結果は同じでした。
 これは、「妻が夫に要求した結果、家事・育児がすすむ家庭」より「夫が家事・育児を共有しないので妻が要求するが、共有が進まない家庭」の方が多いことを示していると思われます。

問9 (妻に対し)夫に「もっと家事・育児をして欲しい」と話したことがありますか。

結果4グラフ:夫に「もっと家事・育児をして欲しい」と話したことがありますか


問10 (夫に対し)妻から「もっと家事・育児をして欲しい」と言われたことがありますか。

結果4グラフ:妻から「もっと家事・育児をして欲しい」と言われたことがありますか

2. 結婚前の話し合い
 ─ よく話し合った夫婦ほど妻が常勤で働き、育児共有度が高い

 結婚する前に家事・育児の共有について話し合った夫婦ほど、家事共有度・育児共有度が高い傾向があります。ただし、その理由は、話し合った夫婦のほうが常勤の仕事を続けることが多いからだと思われます。
 家事については、「よく話し合った」夫婦は、それ以外と比べて共有度が少し高くなっています。育児についてはもっとはっきりした違いが見られ、よく話し合った夫婦ほど育児共有度がはっきり高くなっていきます。
 ところが、これを女性の就労形態別に見ると、それぞれの形態の中では、妻常勤家庭の育児共有度を除いて、結婚前の話し合いと共有度には関係が見られません。つまり、結婚前によく話し合った夫婦ほど妻が常勤である割合が高く、話し合わなかった夫婦ほど妻が専業主婦である割合が高くなるため、話し合うほど共有度が高くなるように見えるのです。
 結婚前に家事や育児の共有について話し合う夫婦のほうが、妻が仕事を続けられることが多いのでしょう。また、どうしても仕事を続けたいと思う女性は、結婚前にそのような話をする可能性が高いということもあるかもしれません。
 今は、本人が希望しても、結婚・出産後に女性が仕事を続けるのはいろいろと大変ですし、いったん仕事をやめた後に常勤の仕事を持つのもとても大変です。その中で、仕事を続けたいと女性が望むなら、結婚前から家事や育児の共有について、よく話し合っておくべきなのかもしれません。
 なお、半数近い44.8%の夫婦が、「ほとんど話し合わなかった」と答えています。逆に、ある程度以上話し合った人は、19.9%しかいません。家事・育児の共有について結婚前に話し合う人は、かなり少ないことがわかります。

問6 結婚を決めるにあたって、家事・育児の共有について話し合いましたか。

結果4グラフ:結婚を決めるにあたって、家事・育児の共有について話し合いましたか

3. 妻・夫の学歴 ─ 妻の学歴が高いほど、家事共有度が高まる

  夫の学歴と家事共有度・育児共有度には関係はみられませんでした。妻の学歴は家事共有度との間にだけ関係が見られ、妻の学歴が高いほど家事共有度が高くなっています。しかし、女性の就労形態別に見ると、妻専業主婦家庭では、夫・妻の学歴と家事共有度・育児共有度には関係はみられず、妻常勤家庭、妻その他家庭では女性の学歴が高くなるほど共有度が上がる傾向がみられました。
 おそらく、女性が働いていない場合、学歴は家事共有度・育児共有度と関係ないのですが、女性が働く場合、学歴が高い方が常勤や収入の良い職に就きやすく、結果として共有度が上がるのでしょう。女性の学歴と就労形態の関係を調べると、女性が働いている場合、大学・大学院卒では55.9%が妻常勤家庭なのに対し、短大・高専卒では37.8%、高校卒では22.7%です。


問17 夫について:最終学歴を教えて下さい。

結果4グラフ:夫について:最終学歴を教えて下さい


問17 妻について:最終学歴を教えて下さい。

結果4グラフ:妻について:最終学歴を教えて下さい

4. 妻・夫の年齢 ─ 年齢との関係は見られない

 妻・夫の年齢によって家事共有度・育児共有度が高くなったり低くなったりすることはありません。ただし、年下の夫の場合、家事共有度・育児共有度が高くなる傾向がありました。

問16 夫について:あなたの満年齢をご記入下さい。

結果4グラフ:夫について:あなたの満年齢をご記入下さい


問16 妻について:あなたの満年齢をご記入下さい。

結果4グラフ:妻について:あなたの満年齢をご記入下さい

結果4グラフ:妻と夫の年齢差

5. 子どもの人数 ─ 子どもがいるいないで差あり

  子どもがいる場合よりいない場合の方が、家事共有度が高いという傾向が見られました。この傾向は特に妻が自営業主・常勤従業員以外の場合にはっきりしていました。
 子どもがいる場合の子どもの人数や年齢と家事共有度の間には関係は見られませんでした。

問18 お子さんの人数を教えて下さい。

結果4グラフ:お子さんの人数を教えて下さい


問18 一番下のお子さんの年齢を教えて下さい。

結果4グラフ:一番下のお子さんの年齢を教えて下さい

6. 世帯構成 ─ 親と同居すると共有度は下がりがち?

 核家族よりもその他の形態の家族の方が、家事共有度・育児共有度ともに低めでした。しかし、調査対象世帯の86.6%が核家族で、それ以外の家族の数が少なすぎるので、どのような親族と同居するとどのような影響があるのか等の詳細な分析はできませんでした。

7. 生家で誰が家事をしていたか ─ 関係は見られない

 生家でだれが家事を担当していたかと家事共有度・育児共有度には、一貫した関係はみられませんでした。ただ、家事・育児を父母以外の人が行っていた家庭で育った場合、家事共有度・育児共有度ともに高いのは興味深いところです。

問20 あなたの育った家庭では、家事・育児は主に誰が行っていましたか。

結果4グラフ:一番下のお子さんの年齢を教えて下さい


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