男は忙しいから家事できない?? −男性の家事・育児を考える− | |||
アンケート調査より | |||
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家事・育児を共有する男性は、よく「理解のある男性」と呼ばれます。行政はこぞって「男性の意識を高めるための施策」を実施しています。そこで、男性の意識が実際の家事・育児共有にどのような影響を与えているか調べてみました。
問14 あなたは次のような意見についてどう思いますか。 これら14の問いは、大きく4つの群に分けることができます。 性別役割規範(ア〜エ・ク〜ケ) 結婚規範(オ〜キ) 家事価値(コ〜シ) 職場規範(ス〜セ) 男性の意識と家事・育児共有の関係を見るために、男性の回答をこれらの分類ごとに得点化して上位群と下位群に分け家事・育児共有度との関係を見たところ、「性別役割規範」が強いほど、つまり「家事・育児は女の仕事」という考えが強いほど家事共有度が低くなる傾向が見られました。 育児共有度の方は、はっきりとした傾向は見られませんでした。 この家事共有度の差を妻の就労状況別に分けてみます。すると、男性の意識による影響は一貫性を無くし、妻の就労状況の方が家事共有度に大きな差をもたらしていることがわかります。 同じような性別役割規範を持つ男性でも、妻が常勤従業員であれば家事を共有し、そうでなければ家事を共有していません。どうやら「家事・育児は女の仕事、と考えている男性は家事をしない」という予想は誤りのようです。最初のグラフでそのように見えたのは、性別役割規範が強い男性の妻は常勤従業員になりにくい、または常勤従業員の妻を持つ夫は性別役割規範が弱くなりやすい、という事実が影響しているためなのです。 男性の意識に比べ、女性の意識は家事共有度に影響を与えています。 同じ就労状況でも、女性が「家事・育児は私の仕事」と考えているかどうかで家庭における家事共有状況は変わることが多いようです。なお、女性の場合も育児共有度に関しては、はっきりとした傾向は見られませんでした。 「性別役割規範」と共に男性の家事共有に影響を及ぼしていると予想されるのが「同僚が皆残って働いているのに、一人先に帰るのは難しい」のような「職場規範」です。 「職場に迷惑をかけられない」という職場規範が強い男性は家事・育児共有しにくいのではないかと予想しましたが、そのような傾向は全く見られませんでした。 また、職場規範の強さを、男性・常勤従業員の女性・無職の女性で比較してみると、男性や常勤従業員の女性よりも無職の女性の方が職場規範を強く持つ傾向がありました。 |
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