§1 男は忙しいから家事できない?? −男性の家事・育児を考える−
アンケート調査より
 3 調査結果  3. 家事・育児共有を左右するものは?

結果2 夫の就労時間が短ければ、夫が家事・育児を共有するとは限らない


1. 夫の就労形態

 夫の就労形態による違いは、分析を行いませんでした。今回の調査では、調査対象家庭の夫の79.7%(無回答を除くと86.3%)が常勤の従業員であり、意味のある統計分析ができないほど1項目に偏っていたためです。

2. 夫の収入 ─ 夫の収入額による影響は、比較的少ない

 妻の収入と異なり、夫の収入額による共有度の変化はあまりありません。例外は、妻が何らかの形で働いている家庭で夫の収入が300万以下の場合、共有度が高くなる傾向があります。  ここで注目すべきなのは、夫の収入よりも妻の就労形態の影響のほうが大きい点です。同じ収入範囲で妻の就労形態による共有度の違いを見ると、『妻常勤家庭』と『妻その他家庭』『妻専業主婦家庭』の間に夫の収入による違いよりも大きな差があります。

問21・22-c 夫について:年収(税込み)はおよそどのくらいですか。
  夫について:年収(税込み)はおよそどのくらいですか

3. 夫の就労時間 ─ 夫の就労時間が短ければ、共有度が上がるとは限らない

 夫の就労時間が短ければ、共有度が上がるとは限りません。それよりも妻の就労形態の影響のほうが大きく、就労時間が長い『妻常勤家庭』の夫は、就労時間が短い『妻その他家庭』『妻専業主婦家庭』の夫よりも家事や育児をむしろよくしているという結果が得られました。
 就労時間と家事共有度・育児共有度の関係を見ると、就労時間8時間未満の夫の家事共有度、就労時間9時間未満の夫の家事共有度は、就労時間が短くなると上がる傾向があります。しかし、勤務時間がそれ以上の場合、就労時間15時間以上という極端な長時間勤務の場合を除いて、家事・育児共有度との関係は認められませんでした。

 次に妻の就労形態別に、夫の就労時間と家事共有度・育児共有度との関係を調べました。
 まず、妻の就労形態によって夫の就労時間が異なるかどうかを調べると、『妻常勤家庭』の夫の平均就労時間は11.8時間、『妻その他家庭』は11.9時間とほぼ同じですが、『妻専業主婦家庭」では12.6時間と長くなっています。
 次に夫の就労時間と家事共有度・育児共有度との関係を調べました。家事共有度は、夫の就労時間が変化してもほぼ一定です。『妻専業主婦家庭』でのみ、「夫の就労時間が長くなると家事共有度が減る」という傾向がいくぶん認められる程度でした。これに対して、育児共有度は、「夫の就労時間が長くなるにつれ、育児共有度が低くなる」という関係が見られます。
 就労時間が同じケースについて妻の就労形態別に比べると、『妻常勤家庭』がその他の家庭より、はっきりと家事共有度・育児共有度が高くなっています。この傾向は、就労時間が11時間以上になると、特に強くなります。
 そればかりでなく、就労時間が長い『妻常勤家庭』の夫と、就労時間が短い『妻その他家庭』『妻専業主婦家庭』の夫を比べると、前者の方が家事共有度が高くなっています。つまり、『妻その他家庭』『妻専業主婦家庭』の夫は、たとえ就労時間が短くても、『妻常勤家庭』の夫ほど家事・育児にかかわらないのです。
 これらのことから、以下のことがわかります。
  • 夫婦間の家事・育児共有は、男性本人の就労時間よりも、妻の就労形態により強く影響される
  • ことに家事においてその傾向が強い
  • 育児は夫の就労時間の影響を受ける
 問7- a・bで、男性が家事・育児をできない理由をきいたところ、女性の53.3%、男性の61.5%が「時間がないから」をあげていますが、この結果を見る限り、「時間がない」は家事・育児ができない一番の理由ではなさそうです。
 家事なら真夜中でもできるので、やろうと思えば長時間勤務の人でもやることは可能です。言い換えると、家事共有度は夫のやる気によって決まるため、就労時間の影響をあまり受けないということになりそうです。一方、育児は子どもが起きている時間にしかできないので、たとえやる気はあっても、就労時間の影響を受けるのでしょう。一方で、就労時間が短ければ育児共有度が高くなるということは、時間があれば育児にかかわろうという夫のやる気を示しているとも言えるでしょう。

問21・22-b  夫について:平日何時間くらい働いていますか。(通勤時間を含む)

グラフ:夫について:平日何時間くらい働いていますか。(通勤時間を含む)


 

4. 夫の職場規

 妻の職場規模と違い、夫の職場規模と家事共有度・育児共有度には、関係は見られません。

問21・22-a 夫について:勤めている会社全体での従業員数を教えて下さい。

グラフ:夫について:勤めている会社全体での従業員数を教えて下さい



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