§1 男は忙しいから家事できない?? −男性の家事・育児を考える−
アンケート調査より 
 1 調査概要

1. 調査目的

 人が生きてゆくためには、働いて生活の糧を得ることと、料理や洗濯で生活を維持してゆくことは欠かせません。この両者をだれがどのように担ってゆくのかは、時代によって変化しています。現在の日本では、経済責任の基本部分を男性が担い、家庭責任(家事・育児・介護等)の基本部分を女性が担う傾向があります。

 近年では、男性と女性が経済責任と家庭責任を共有すべきだと考える人も増えており、政府も内閣府に「男女共同参画局」を設置してこの共有を推進しようとしています。しかし、女性の賃金実態はフルタイム就労者でも男性の66 %であり、この格差は縮まる傾向にあるとはいえ女性の経済責任共有はまだ達成できているとは言えません。女性は現在も出産・育児による職業中断の傾向が強く、中断後に多く選ばれるパートタイム就労の賃金はフルタイム女性の68%という状態で、こちらの格差は年々拡大する方向にあります。

 家庭責任を担う男性は少数派に留まっており、たとえば育児休業制度の利用率は女性56.4%に比べ、男性0.4%と圧倒的に低くなっています。この男性の家庭責任共有の低さが、女性の職業中断・パートタイム就労増加につながっているとも考えられます。

 ではなぜ男性は家庭責任を担えないのでしょうか? たとえば次のようなことが言われています。

  ・男性は仕事で帰りが遅いから
  ・男性は就労時間が長くて、疲れているから
  ・「男は仕事、女は家事」と考えているから

 しかし、このような理由は本当なのでしょうか? たとえば、就労時間が短くなれば、男性は皆十分に家事・育児に参加できるようになるのでしょうか? 「男も家事をすべき」と考えるようになれば、家事・育児をするのでしょうか?
 これらのことを確かめるために、私たちは夫婦間の家事・育児共有状況に関するアンケート調査を行いました。

2. 調査対象者

 東京都小金井市内に居住する既婚者(夫が20 〜49 歳の夫婦の夫か妻)。
 調査対象は、小金井市の協力により住民基本台帳より無作為抽出。
 女性 795 名(回収 172 名、回収率 21.6 %)
 男性1192 名(回収 118 名、回収率9.9 %)
 合計1987 名(回収 290 名、回収率 14.6 %)
 

3. 調査方法

 往復郵送法

4. 調査期間

 2003 年1 月9 日 〜 1 月31 日

5. 調査実施主体

 「男も女も育児時間を!」連絡会 家事プロジェクト

6. 備考

1 )この調査は、東京ウィメンズプラザの平成14 年度民間活動助成対象事業の助成を受けて実施しま した。
2 )この調査は、東京工業大学社会福祉政策研究会の協力を得て実施しました。
3 )この調査は、1995 年に「ウィズリブの会」が福岡市女性センター・アミカスの協力を得て行った 調査研究「男は忙しいから家事できない?」のフォローアップ調査でもあります。時代的変化・地域格差に興味のある方は、前回調査を参照してください。 →1995年報告書


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