- マリ
- 私たち、1995 年に家事育児の夫婦間共有について調べたんだけど。
- ケン
- うん。福岡市でやったアンケート調査ね。http://www.eqg.org/lecture/kaji/kaji1995
- マリ
- あの調査は内外に好評を博しまして。
- ケン
- ・・・・・内外って・・・どこさ。
- マリ
- 前回の調査からはや8 年。8 年も経てば人の心も生活スタイルも変わったり変わらなかったりするんじゃないかと思いまして。今回は2003 年、東京都小金井市を舞台に調査を実施する事にしました。
- ケン
- 前回は、ジェトロの国別労働時間(表2)ってのを見せられたけど。
- マリ
- 今回はNHK が5 年おきにやってる「NHK 国民生活時間調査2000 」(表1)を持ってきた。前回のジェトロの表も、日本のデータはこの「NHK 国民生活時間調査」を元にしてるんだ。
- ケン
- 5 年おきってことは、前回のジェトロの表は1990 年のデータをもとにしたってことだね。じゃあ、10 年経ってどうなったでしょう、ってわけだ。
< 表1:1週間あたりの、はたらく時間 >
| 職業労働 | 家事労働 | 合計(時間/週) |
男性有職者 |
52.7 |
4.1 |
56.8 |
女性有職者 |
37.3 |
24.2 |
61.5 |
「日本人の生活時間・2000 NHK 国民生活時間調査」NHK 放送文化研究所 2000
女性は、フルタイム・パートタイムの両方を含む
< 表2:1週間あたりの、はたらく時間 >
| 職業労働 | 家事労働 | 合計(時間/週) |
男 性 | 日 本 |
57.7 |
4.0 |
61.7 |
米 国 | 47.5 | 14.1 | 61.6 |
フランス | 44.9 | 16.5 | 61.4 |
英 国 | 43.4 | 13.0 | 56.4 |
女 性 | 日 本 |
47.7 |
26.7 |
74.4 |
米 国 | 36.3 | 25.8 | 62.1 |
フランス | 40.1 | 27.7 | 67.8 |
英 国 | 40.1 | 18.9 | 59.0 |
「欧州主要国の婦人労働環境の動向とその経済的影響について」ジェトロ 1993
女性は、フルタイムワーカーの場合
- ケン
- おお! 職業労働時間が減っている!
- マリ
- 女性は前回フルタイムワーカーだけのデータだったから比較が難しいけど、男性に注目すると確かに減っている。
- ケン
- ほらっ! 男性の家事労働時間が増えてる。
- マリ
- ・・・0.1 時間ね。一週間に6 分。今回の調査でも家事共有の向上は望み薄かなぁ。
- ケン
- でも、女性の家事時間のほうは減ってるんだから。
- マリ
- 確かに。家事の効率化やアウトソーシングが進んできたってことだよね。
- ケン
- 近頃はベビーカー押してるお父さんを見ることも珍しくなくなったし。育児用品なんかは男性仕様のものが増えてきてるんだよ。
- マリ
- さて、その効果がアンケートでどう出るか。楽しみ。
- ケン
- 前回の調査では「長時間労働のせいで男性は家事・育児ができないんだ」という世間の常識に反して、「労働時間が短くなったって男性は家事をしない」って結果が出てたね。で、妻が稼いでるほど夫は家事をするという一見みもふたもない結論に・・・・今回はどうだろう。
- マリ
- 男性の「意識」を変えても家事・育児の共有は進まない、ってのもあった。結局「今の生活」があって、その生活を上手くまわしていくために家事・育児の共有が必要ならする、って風だったね。
- ケン
- あのさ、その「共有」って言葉だけど。前は「分担」って言ってなかったか?
- マリ
- うん。ちょっと宗旨変えした。
- ケン
- なんで。
- マリ
- 分担っていうと自分が担当しない部分の責任は一切ないような感じだけど、育児や家事ってそういうものじゃないでしょ、という意見にもっともだと思ったから。実際に作業する時には分担してやるにしても、実際にはどっちにも100%の責任がある。特に子育てなんて「この部分は自分の担当じゃないからどうなっても関係ない」ってもんじゃないよね。2 人のオトナがいたら、2 人それぞれに100 %の責任があるんだと思う。だから、分担って言葉じゃなく「共有」というコンセプトで考えてみたいと思ったの。
- ケン
- でも、アンケートの文章(付録参照)には「分担」って書いてるぞ。矛盾してない?
- マリ
- 「家事共有」って言葉がまだ広まってないから、質問文では最も一般に使われてる言葉をつかうべしというアンケート作成上のアドバイスがあったもので。
- ケン
- なるほどね。今回も男性座談会やるの?
- マリ
- やるやる! アンケートだけじゃ見えてこない肉声の部分って大事だもん。それに、今回はアンケートの自由記述部分も全面一挙大公開だよ。
- ケン
- はい。では本文に行ってみましょう。