妻・夫の就労状況、家事・育児に対する意識の他に、どんな要因が家事分担度・育児分担度に関わりを持っているのだろうか。
1. 夫の年齢−若い夫ほど家事分担度・育児分担度が高い
『妻非フルタイム家庭』でも、夫の年齢が低い方が分担度は高い。 家事(***) 育児(*)
なお、「年下の夫は家事・育児をよくする」という結果は認められなかった。
Q.夫について:年齢を教えて下さい。(問16、問25)
2. 最年少の子供
−幼い子がいる家庭では、男性も家事・育児にかかわらざるを得ない?
幼い子供がいる家庭では、家事分担度・育児分担度が高い。最年少の子供が就学した頃から、夫の家事・育児への参加が少なくなっている。やはり男性の家事・育児参加は「あまりに大変そうで、見るに見かねて手を出していく」というのが、共通のパターンなのだろうか?
Q.一番下のお子さんの年齢を教えて下さい。(問23)
3. 子供の有無による、育児分担観の変化
−思ったほどにはかかわれていない父親
本調査では、子供がいる人には現実の育児分担の状況を、いない人にはどういう分担が望ましいか答えてもらい、各回答者の育児分担度を算出した。その結果、子供がいない状態では、「男性も子育てにかかわることが望ましい」という夫の意識は強いことが分かった。この意欲の高さは、『妻フルタイム家庭』と『妻非フルタイム家庭』の間で若干の差が認められた。
しかし、実際に子供を持つと育児分担度は下がり、父親は子供がいない状態で思い描いていたほどには、子育てにかかわれていないという状況がうかがえる。『妻非フルタイム家庭』は『妻フルタイム家庭』より育児分担度の落ち込みが大きく、差がさらにひらく形になっている。『妻フルタイム家庭』では、夫の子育てへの思いが継続され、ある程度現実化されていくのに比べ、『妻非フルタイム家庭』では、夫の意欲がスポイルされて現実化していかないという状況が推測される。
Q.次にあげた育児は、あなたの家庭では主に誰がおこなっていますか。
あるいはおこなっていましたか。
子育てをされたことがない場合には、誰がおこなうことが望ましいと思うか、お答えください。(問4)
4. 妻からの家事・育児要求−口頭で家事・育児分担を要求しても、あまり効果なし
妻から夫に家事・育児をして欲しいとの意思表明をしても、分担度はわずかしか上昇しない。論理による説得は、効果が少ないようだ。
Q.妻から夫に「もっと家事・育児をして欲しい」と話したことがありますか。(問8、問9)
5. 生家で誰が家事をしていたか − 育児分担について、差が認められた
家事を父母で分担していた家庭で育った男性は、子育てに対してかかわりが高くなる
Q.あなたの育った家庭では、家事・育児は主に誰がおこなっていましたか。(問22)
6. 妻の学歴−妻の学歴が高いほど、フルタイム度が高い
妻の学歴が高いほど、フルタイム就労度は高くなっている。そのため夫の家事分担度・育児分担度も高くなっている。 家事(***) 育児(***)
しかし、『妻非フルタイム家庭』に限って調べてみると、妻の学歴と夫の家事分担度・育児分担度の関係は少なかった。 家事(*) 育児(-)
7. 夫の学歴−夫の学歴との関係はほとんどない
夫の学歴が高い場合、育児分担度が若干高くなる傾向がある。 家事(-) 育児(*)
8. 世帯構成−親と同居の影響はほとんどみられない
夫婦の親との同居による影響は、ほとんど見られない。 家事(-) 育児(-)