カット ワークショップ:「男は忙しいから家事できない??」

【第一部】


パネリスト:松田正樹


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はじめまして松田正樹といいます。どうぞよろしくお願いします。9時から夕方5時までフルタイムで働くつれあいと11歳の子どもの3人家族で,神奈川県横浜市に住んでいます。私自身は,週に1日はパン工場でアルバイトをして,週に1〜2日は地元の保健所などで保育ボランティアをして,残りの日は家事をしています。つれあいは大学の同級生で,卒業後すぐ結婚し今年で16年目になりました。彼女とは結婚する際に「フルタイムでもアルバイトでもパートでもいいから,とにかく2人で稼いでお金は家に入れよう。そのかわり『家事』や『育児』はわかちあおう」と言って結婚しましたので,現在つれあいがフルタイムで私はアルバイトですが,これでもOKな夫婦です。

先ほど発表した井口さんや百世さんのように育時連に関わってくださる女性はとてもしっかりとした人が多いのですが,私は拝見していて,
 1)男性に対してきちんとした考えをもっている理論武装タイプ
 2)実際に恋人や同居人を変えてきたという実践改革タイプ
の2種類がいらっしゃる感じがしています。ところが,私のつれあいはそのどちらでもなくて「あなたもわたしも同じ人間で一緒に生活してるんだから,家事は一緒にしようね」という自然体でナチュラルタイプなのです。私にとってはこれがとてもここち良く,そのため私は家事に対して自然と体が動くようになりました。

ところで,今回の調査は,東京都の小金井市という人口約11万人で世帯数が約5万世帯という中都市での調査でしたので,地域差などの分析はできないので補足する資料をお手元に配りましたが,日本における共稼ぎ率のトップ3は,平成12年度の国勢調査によりますと,第1位は福井県(60.5%) 第2位は山形県(60.4%) 第3位は富山県(58.3%) でした。このうち富山県につきましては,日本労働研究機構が今年発表した「育児休業制度に関する調査研究報告書〜女性の仕事と家庭生活に関する研究調査結果を中心に〜」(サンプル数1464人)の中で,富山県の富山市と高岡市について「親との同居状況によって夫の家事参加について有意差がみられ,非同居の場合に夫の家事参加の頻度が増える」という興味深い報告がありました。この文献はここのライブラリーにもありますので,興味のある方はお帰りの際にでもぜひご覧ください。

また,東京ガス(株)都市生活研究所が昨年,20〜50代の既婚女性 866人に調査した「家事分担の意識と現状」によりますと,夫が中心に担当している家事の第1位はごみだし(30.8%) 第2位は風呂掃除(19.2%) 第3位は家計管理(9.7%)だそうです。
一方,ライオン(株)生活者行動研究所が今年,食器洗い機をもっていない20〜50代の既婚女性 212名に調査した「手早くすませたい家事」という調査では「食事の後片づけ」がトップでした。まあ家事を経験した人は,女性や男性に関係なく誰でも食事の後片づけをどうにかしたいことは感じていますから,おそらく要領のいい男性というのは「ごみだし」よりも「食事の後片づけ」を必ずしているんだと思います。なぜなら同時に彼女の満足度も確実にアップしますから一石二鳥なんです。なお,同調査における「夫の年代別『食事の後片づけ』の手伝い率」をみてみると,20代の夫の「良く手伝う」という比率が27%なのは注目に値します(30代,40代,50代の夫はいずれも20%未満)。と同時に「全く手伝わない」という夫が20代では 18%というのも,他の世代がいずれも40%を越えていることをふまえますと,これからの若い世代に期待したいなぁ・・・と私はつくづく思うのです。
「男は忙しいから家事できないというのはウソ」というのは先ほどの説明でよくわかりました。では、男はどういうワケで家事しないというのでしょうか? そもそもこういう命題は可能なのでしょうか? 今日は皆様とこの点について意見交換したいと思います。どうぞよろしくお願いします。


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