カット ワークショップ:「男は忙しいから家事できない??」

【第二部】

ディスカッション


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会場からの質問・感想・意見を交えてのディスカッション
会場
(男性)
フリーライターです。僕は家事育児は本当に何でもやりました。 子育てはオムツ替えから始まって、風呂に入れて風呂から上がったら髪を拭いてやって着替えさせるところから、寝る時には毎日30分以上は本を読んだり空想のお話をしたり。料理は料理教室にも通って、畑を作って自給自足をするところまでやりました。
最初はサラリーマンだったんですが、仕事をやめて放浪したりということをしているうちにまともに働くのが嫌になって。自分としては、本当にやりたいことをやりたいように生きているのでとても楽しいし充実していますが、ただこういう生き方をしているとどうしても収入が少なくなりますね。
妻は「経済力のあるサラリーマン」と結婚したつもりだったので、僕のこういう 生き方に不満が大きくて、少し前に離婚することになってしまいました。
次にパートナーを探すなら、経済力があって、こういう僕の行き方を理解して共感してくれる女性を探したいと思います。経済面はパートナーにお任せして、家のこと等は一切僕がやる、という形がストレスにならないような関係が築ける人を探したいなと思っています。
会場
(女性)
男性の家事育児というテーマですと、ちょっと前までは「被害者である女性が加害者である男性にどう手伝わせるか」という内容になりがちだったと思うんですが、たぶん今はそれよりも一歩先に進んできてるんだろうなと思います。
一番大事なのは「自分がどう生きていきたいか」だと思います。それがはっきりしていたら、それにあった人生路線やパートナーの選択をして行くことが出来ます。まあ、選択しても上手く行かないこともありますが、そのつど工夫していくということだと思います。
パートナーにアプローチする時に「私って料理上手なのよ」というアプローチをしておいて、結婚したら「家事分担してよ」っていうのはちょっとおかしい。
「料理上手」というエサを見せれば「料理してほしい男性」がかかってくるわけで、釣ったエサと違うことを後で要求してもうまくいかないんじゃないでしょうか。人は独身一人暮らしならだれだって家事をしているはずです。一人なら出来るんだから、結婚したあとだって当然出来るはず、と基本的に思います。
会場
(女性)
「男は忙しいから家事できない」という言葉ですが、女だって忙しかったら家事できないですよね。でも、家事するかどうかは人の組み合わせによっても違うのかなと思います。私は一人暮らしの時にはそれなりに家事はしていましたが、その後弟と暮らしていたときはあまりしませんでした。私より弟の方がきれい好きで、私は部屋を丸く掃除しても平気なんですが、弟はそれは嫌だったみたいです。
同じ環境で一緒に育ってもこんなに感性が違うのかー、とちょっと驚きました。私は独身ですが、弟とさえこんなに違うんですから、全く別の環境で育った人では家事に対する要求レベルが違うのは当然の事かなと思いました。
家事の分担ですが「話し合うと上手くいかない」というのはそのとおりだと思います。
私は弟と暮らし始めた時は「ちゃんと取り決めしましょう」と言ったんですが、弟の方が「適当でいいじゃない」と言いました。で、始めてみると、適当にやっていてもなんとなく負担が上手く回っていったので、自然な形での分担の方がストレスにならなくていいと思います。
誰でも一人暮らしのときは家事をやるんですから、男性も誰でも家事はできるはずだと思いますが、でも絶対に自分でやらない男性というのもいるんでしょうねぇ。
古川 パートナーのエプロン率100%の百世さん、どうでしょう。どんなテクを使っても絶対やらないという男性もいるんでしょうか。
百世 実は、私の父親はタテのものをヨコにもしない人なんです。それが反面教師となったワケですが、やらない年数の長い人を改善するには、やはり時間がかかるかもしれませんね。ただ、定年前後の男性は会社という場を失い、環境が変わる良いチャンスですから、責めようがあると思います。
会場
(女性)
自分がどう生きるかを考えて、それで突っ走っていくという生き方は重要ですね。
私は家庭婦人になるか職業婦人になるかという選択で、考えた末に職業婦人になることを選びました。そうするとうまくしたもので、その生き方にあった男性とめぐり合うことも出来ました。今は最初の職業は既にリタイアして、第二の職業を楽しんでいますが、今でも家のことも経済的なこともフィフティフィフティの関係を保っています。気持ちが楽でいいですね。
ただ、ナイト願望っていうんでしょうか、花束をもらったり守ってもらったりということもされてみたいという気持ちもあるんですが、そっちの方はあまり満たされないというのが欠点です。(笑)
会場
(女性)
質問です。松田さんの資料で20代の男性は30・40代の男性に比べて食事の後片付けをよくしているようでしたが、これは30・40代の男性は働き盛りで帰宅時間が遅いからじゃないでしょうか。やはり長時間労働というのは関係があるのでは?
労働時間が長いと、やりたくても出来ないと思うんですけど。
松田 確かに日本の30代や40代の男性は労働時間が他の年代に比べて長いのですが、実は20代の男性も長いのです(年代別データは20代には学生が含まれますので補正が必要)。
もちろん長時間労働は原因のひとつだとは思います。ただ、家事処理能力の高い人が全てをやってしまえば効率的ですし実際きれいになるのでしょうが、せっかく2人で生活しているのですから、ひとりが全てをやってしまうのではなく、もうひとりの人にも何かを残しておいて欲しいと私は思います。たしかに非効率ですし、きれいにもなりませんが、そこはご自分の忍耐力がカギとなるでしょうね。
百世 確かに、20代の「まったく手伝わない」が他世代の半分以下だといっても、一概に大丈夫とは言えないですね。そして30代40代男性が働き盛りであまり家事ができないという点では、30代40代の女性も働き盛りで時間がないという条件は同じなんです。なのに、なぜ男性だけそれが許されるのか。また、50代の「よく手伝う」が30代40代よりもグッと増えているのは、なぜか。そういったところを、もっと探っていきたいですね。
井口 私の両親は古川さんの両親と同じ昭和ヒトケタ世代ですが、田舎を離れて都会 に出てきた核家族という、典型的な性役割分業家族でした。父は徹底的に家事・育児は何もしない人、母はそのような父のことに文句を言いまくりながら「あんたたちがいるから離婚できない」と子どもに訴えるという、よくある構図の家族だったのです。その中で「自分は絶対に経済力を手放すまい」という決意を持つようになりました。
 で、その決意を貫き通すのには必要ですから、家事・育児と仕事は両立させています。私はフルタイムの勤め人の上に人並みの通勤はしていますから、平均的男性より著しく労働時間が短いということはありませんが、やっています。「やらねばならない」と思っていれば、やれないことはありません。もちろん、毎日通勤を除いても14時間労働・土日も出勤のような極端な場合には無理だと思いますが、要はやる気と覚悟・必要性の問題でしょう。
古川 私はあのグラフを見た時に「ああ、20代の男性は皿洗いしないともう結婚してもらえないのね」と思いました。20代の女性は家事を分担する男性を選んで結婚している。
そういうのもあると思います。それから労働時間の話ですが、確かに育時連の男性のように「家事育児をやりたい男性」に尋ねれば「時間がないからできない」「労働時間をなんとかしてくれ」って答えます。でもね、そんな男性はごくごく一部です。
ほとんどの男性ははなから「家事はべつにやりたくない」です。それは多くの女性も同じだと思いますけど。
人により状況によって「正しい答え」は変わって来るので、その辺はきちんと抑えつついろいろな状況を見ていく必要があると思います。

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