私家版 左手キーボード配列 (かんな篇)


Index


1.はじめに

ゆえあって、しばらくの間、右手でキーボードが打てなくなりました。 (いまは打てます )

左手だけでキーを打つのが、とっても大変だったので、 左手をホームポジションから動かさずに、 日本語ローマ字入力ができるように工夫しました。 (この文書で説明する設定を、左手で入力するのがまず大変でした )



2.調査

片手をキーボードの同じ位置においたまま、 日本語入力できるようにするためのアプリケーションまたは環境設定方法を調べました。

WindowsおよびUNIXについて調べたところ、 入力方法として大きく分けると以下の2種類がありました。

・ポケベル風入力

「あ行」「か行」などを指定するキーを押した後、 「あ段」「い段」を指定するキーを押すことで、かなを入力する方式です。

Windows用のいくつかのソフトを試してみました。 慣れればかなり高速に入力できそうでしたが、 難点は習熟に時間がかかりそうだということです。

UNIX環境でも、cannaの設定変更でこの方式を実現する方法(設定ファイル )をふたつほど見つけました。

・左右対称キーを利用する方式

左右対称の位置にあるキーは押しやすいという人間の性質を利用した方式です。 具体的にいうと、右手小指上段のPを押すところで、代わりに左手小指上段の Qを押すという方式です。

たとえば、両手でkaisya(会社)と入力すべきときに、左手だけで daestaと入力できるようなるのは、わりと簡単です。 (ブラインドタッチできるひとに限りますが )

Windowsの「左手鍵盤」(フリーソフト)というソフトは、 右手のキーを押す代わりに、 スペースを押しながら左手対称キーを押すという方式です。 このソフトを試してみたところ、 確かにキーボードを見ずにそれなりに入力できました。

また、Windows用シェアウェアにWKeyというのがあり、 右手キーの代わりに左手対称キーを素早く2度打つ方式だということでした。 (このソフトは試してません。関心があるかたは試してみてください )



3.自分で左手用キー配列を作ることに決めた。

いろいろ調べてみましたが、「これだ!」というソフトは見つかりません。

「左右対称キーを利用する方式」がそれなりに気に入ったのですが、 見つけたソフトは私には残念ながらなじめません。

前述したように、Unix環境で cannaの設定変更をしているアプローチがあったのでそれを参考に、 自分で左手ローマ字入力用配列を設定してみようという気になりました。

3.1 キー割り当ての方針

最初から決めた方針ではなく、 キー割り当てに迷ったあげく結果的に決まった方針です。

3.2 まず、母音キー

a,i,u,e,oのキーを見ると、iとeがぶつかってます(中指の上段)。 方針にしたがい、中指上段は、本来のeとしました。

では、iはどうしたかというと、ひとつ下にずらして中指中段としました。 (まぁ、いちばん打ちやすいキー位置のひとつですし )

そんなわけで、以下の配列になりました。

全角大文字は本来のキー、半角大文字は右手対称位置のキー、 小文字は無理矢理割り当てたキー、です。

q
 
w
O
e
r
U
t
 
a
s
 
d
i
f
 
g
 
z
 
x
 
c
 
v
 
b
 

3.3 つぎは子音キー

子音キーはたくさんぶつかってます。

dとk: dキーには、本来のキーであるdを割り当てました。 kはひとつ下にずらして、cキーに割り当てました。
tとy: tキーには、本来のキーであるtを割り当てました。 yはfキーに割り当てた。ローマ字入力ではyの入力は多いため、 打ちやすいfキーが適当と考えた。しかし、tキーに yを割り当ててtは別のキーに持ってくのがよかったかもしれない。
gとh: gキーには、本来のキーであるgを割り当てました。 hは無理矢理にxキーに割り当てました。
bとn: ローマ字入力では、nは多用するキーのひとつです。なので、 bキーには右手キーであるnを割り当てました。 本来のbはeキーに割り当てました。(あんまり選択肢はなかった )

そんなわけで、以下の配列になりました。

全角大文字は本来のキー、半角大文字は右手対称位置のキー、 小文字は無理矢理割り当てたキー、です。

q
P
w
e
b
r
t
a
 
s
d
f
y
g
z
x
h
c
k
v
M
b
N

問題

ローマ字入力では、 子音キーを続けて打つことで「っ」を入力することになってます。

上述した母音と子音の配列だと、以下の問題があります。

rr: 「る」なのか「っ r」なのか分からない
dd: 「ぢ」なのか「っ d」なのか分からない

rrについては、 ラ行の前に「っ」が来ることは滅多にないことから、「る」が入力されるように設定しました。

ddについては、「ぢ」を入力することが滅多になく、 またダ行の前に「っ」が来ることはよくありそうなので、「っ d」が入力されるように設定しました。

3.4 その他のキー

「ぁぃぅぇぉっ」や、「、。?()」などのよく使う記号も割り当てました。

記号は大半が右手キーなので、 fキーの後に左手下段の対称位置で入力できるようにしました。

また、「ぁぃぅぇぉっ」は「あいうえお」位置の近くに適当に割り当てました。



4.最終的なキー配列

試行錯誤の結果、以下のような配列に落ち着きました。 かなり上手に入力できるようになったころに、 右手でキーが押せるように回復したため、習熟は止まってしまいましたが。

5.具体的な設定方法

そうそう具体的な設定方法は、 default.ctd (※)を自分にあわせて編集して、

  mkromdic default.ctd

すると、default.cbpができるので、それをホームディレクトリにおくだけです。 詳しくは、cannaのマニュアルを参照してください。

(※) ~/.cannaに、(setq romkana-table "default.cbp") と書いてある場合