特別企画 2002年の3冊+

育時連メーリングリストのメンバーが、印象に残った本を選びました。

松田正樹さん

1)新子育て支援「未来を育てる基本のき」
  日本女性学習財団編
  2002年4月発行 200円

 カラーで見やすい全16頁の冊子に「今なぜ子育て支援か?」「子どもたちはこんなふうに育っている」「親たちにこんな言葉かけをしていませんか?」「こんなの、いやだな」「子どもと一緒にジェンダートレーニングワークショップ」「メディアチェックをしてみよう」「求められる子育て支援者養成に向けて」の7項目がコンパクトにまとめられています。
 最近、地域を巻き込んだ子育てが特に注目されています。しかし、子どもたちがすてきな人間に育つためには、実は子どもたちが日常的にふれあっている地域の人々がすてきな人間になっている必要があると私は感じています。なぜなら、子どもは、言われたことをするのではなく、自分で見たことをするからです。
 子どもと関わりを持っている方、あるいはこれから関わりを持つことになる方は是非ご一読ください。それはあなた自身のためというよりはむしろ、地域の子どもたちのためだからです。

2)大育児 清水ちなみ著 扶桑社
  2002年7月発行 1238円+税

 「OL委員会」のノリで清水ちなみさんが送るアンケートに基づいた育児書です。「子どもの父親あるいは同居男のやっていること」について「全然たりない 27%」「足りない 35%」と、かるく60%を越えた結果などをみると「男性たちよ、しっかりしろ!」と初めは思いましたが、「私に経済力さえあれば、こんな男ととっくに別れている。別れないのはただお金のため」なんていう本音がザクザクでてくると、「子どものためにも、やはりどうしようもない男性は捨てられても文句は言えないな」と思うようになりました。男性をよいしょする育児書が多い中、男性にエールを送らない素晴らしい育児書です。

3)リプロダクティブヘルス 我妻尭著 南江堂
  2002年2月発行 2500円+税

 広範囲なリプロダクティブヘルスのうち産婦人科分野について産婦人科医がまとめた本書は、現在の日本の状況を知るには格好の1冊と思われます。また、Female Genital Mutilation (FGM) は「女性性器切除」と翻訳されることが多いのですが、Mutilationは損壊あるいは破損と訳すべきで切除というと手術で卵巣や子宮を切除するがこれも女性性器切除になってしまうし、Genitalは性器ではなく外陰部のことで、実は「女性性器切除」は誤訳だったと医師の立場から指摘している点など、興味深い内容となっています。


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