特別企画 2001年の3冊

育時連メーリングリストのメンバーに、印象に残った本を選んでもらいました。

松田正樹さん

1 男女平等の確立が日本社会の「不安」を解消する
  大沢真理・前田正子・朴木佳緒留・福島瑞穂共著
  月刊「世界」2001年1月号 P150〜169
  岩波書店 780円

 タイトルにつられてつい買ってしまいましたが、21世紀における日本の課題がコンパクトにまとめられていて厚い本など読んでいる時間のない忙しい方にはオススメです。「雇用差別の禁止を」「安心して生み育てられる社会を」「真の男女平等教育を」「個の自己決定権を保障する社会的セイフティネット」「女性に対する暴力を根絶し、あらゆる暴力のない21世紀を」という5つを重点項目として掲げ、4人の筆者がそれぞれの立場から丁寧に論理を展開しているところに好感を持ちました。

2 女性施設ジャーナル6
  横浜市女性協会編
  2001年5月21日発行 学陽書房 1500円

 1999年6月に「男女共同参画社会基本法」が施行されたことにより、全国の自治体では両性の平等を目指した条例作りが始まりました。そこでこの本では条例化への各地の動きをレポートしたり、すでに施行されていた14自治体の条例を紹介したりしています。また、わたしが参加していた「首都圏男女平等条例市民ネットワーク」の活動と意義についての報告もあり、20世紀末の日本における両性平等政策のドタバタ劇の貴重な記録となっています。

3 男女という制度(21世紀文学の創造7)
  斎藤美奈子編 
  2001年11月19日発行 岩波書店 2200円

 斎藤美奈子さんが9名の論者を選び、若い読者や入門者に向けて、読んで楽しい作品を集めました。フェミニズムとかジェンダーとかセクシュアリティといたカタカナ語を使わず単に「男女という制度」というタイトルにしたところがわたしは気に入っています。なお、斎藤美奈子さんによると、いわゆる「文学作品」から「おまえなんか文学じゃないやい」とのけ者にされそうなテキストを検証することも目指したそうです。桃谷方子さん著の「百合祭」について触れられていたのはこのためだったのね、とひとりで納得した松田でした。


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