Last updated : 1/Jun./2003 

男性の家事育児に関する本

膨大な女性学/フェミニズムの文献、あるいは育児の一般文献は敢えてカットし男性の家事育児に関する本を並べてみました。他にもある筈なので知っていたら教えてください。

The Second Shift
Arlie Russell Hochschild
Penguin Group USA ; Reissue 版 (2003/04/29)

初版は15年前。この版には序文と新たなデータが加わっています。アメリカの共働き夫婦を長期間にわたって調査し、分析したものです。邦訳も早くに出ています。

セカンド・シフト : 第二の勤務 : アメリカ共働き革命のいま
アーリー・ホックシールド著 ; 田中和子訳
朝日新聞社 1990

残念ながら絶版です。図書館に行けばあると思いますが、場所によってはないかもしれません。これを読んで面白いと感じたことが私が小金井調査を手伝った動機です。「男は忙しいから家事ができない?」の座談会の内容が本書に似ている感じがしたので驚きました。

ホックシールドは社会学者なのですが、類書に The Time Bind: When Work Becomes Home and Home Becomes Work(2001)があります。The Second Shiftの続編です。この本の紹介を読んでいて面白いなと思ったのでこれから買ってみるつもりです。

井上輝子・上野千鶴子・江原由美子編
『日本のフェミニズム別冊 男性学』

岩波書店、1995年、\2000

1970年代以降、日本語でオリジナルに書かれたフェミニズム思想の秀逸作 品を「日本のフェミニズム」と題して全7冊にまとめたシリーズに別冊として加えられた「男性学」の1冊。育時連世話人 たじりけんじの「がんばらない哲学」(男と女で[半分こ]イズムより抜粋)を初め、19名の男達の自己省察の集大成である。

汐見稔幸、長坂典子、山崎喜比古 『父子手帳』
大月書店、1994年、\2000

母子手帳の向こうを張って、父親になるために知っておきたいこと、 心がけておきたいことを、かゆいところに手が届くように解説した好著。

男の子育てを考える会編 『男の育児書』
現代書館、1987年、\1545

それまで、あるようで実は無かった男のための育児書に挑戦した一作。 「当事者としての育児」を父親の先輩があれこれ指南。

マイク・マクレディ 『主夫と生活』
学陽書房、1983年、\1236

主夫ものの古典。ある日外で働いていた男が突然、主夫となり家事・育児に専念するというパターンは、この文献リストの中でも同工異曲で繰り返されているが基本線はこの本で大体押さえられている。伊丹十三がかなり勝手に訳した「解説敷衍訳」。原著は1975年の本である。

[古川玲子さんおすすめ]
ローストチキンと言えば、昔読んだ「主夫と生活」(伊丹十三翻訳のすっごく面白いアメリカ製主夫エッセー)という本に出てくる行きずりのオジサンの「塩と胡椒とバターをたっぷり、それにローズマリーを振りかけて」というのが我が家の定番です。

村瀬春樹 『怪傑!ハウスハズバンド』
晶文社、1985年

日本における主夫ものの古典。村瀬春樹の主夫ものはもう一冊ある。

伊丹十三 『女たちよ!男たちよ!子供たちよ!』
文春文庫、1984(単行本は1979)年、\460

伊丹十三は知的スノビズムが鼻につく人だが、 子育ての話をさせると他の有名人の子育て論議よりも遥かにいい。専業主夫を真剣にやったのが利いているようだ。

吉田義仁 『ぼくらのパパは駆け出し主夫』
朝日新聞社、1992年、\1400

バリバリの新聞記者から一転して主夫に育児退職した男性の体験談

岡宏子編 『父親は子どもに何ができるか』
海鳴社、1994年、\1545

TBSのニュースキャスター下村健一の育児休暇の話が出ている。子供が産まれてしばらく週三日休んでいたということだが、未消化の有給休暇を使うだけでなんとかなったという。

ナオミ保育園オヤジの会 『オヤジの出番がやってきた』
汐文社、1991年、\1500

最近は幼稚園や保育園の行事で目立ちたがる父親が増えてきたが、その最左翼を行くと思われる会の実録記。

ますのきよし 『家族』
現代書館、950円、1985年

「家族はどうしてできたのか?」や「男も女も4時間労働」など興味あるテーマを楽しいイラスト(小林敏也)とともにどうぞ。現代書館のビギナーズシリーズの1冊。

なお著者の、ますのさんは育時連を創設し91年頃引退した、伝説の人。

ますのきよし 『<家族>ってなんだろう』
現代書館、\1500、1985年

家族のつながりの起源は子育てであると提唱する著者が、あなたに送る「自分流」の生き方の大切さ。

男の子育てを考える会 『現代子育て考IV』
現代書館、\980

福岡・女性と職業研究会編 『家事育児を分担する男たち』
現代書館、\1400

佐藤洋子 『男に聞く--フェミニズムという男性問題』
朝日新聞社、1991年、\1150

男性学の論客から日経連会長まで二十五人の男性に佐藤洋子が切り込む対談集。

豊島区立男女平等推進センター 『男が語る家族・家庭』
ドメス出版、1994年、\1648

ゼミナールの記録を本におこしたもの。「今の育児する男はセクシーではない。アレでは濡れない」と上野千鶴子が物議を醸す発言を行い、局所的に非難がまきおこった。結局、活字にする段階で大幅な改稿が行われ、本を読む限りでは何で非難されたのかはよく判らなくなっている。

足立区女性総合センター編 『男性改造講座』
ドメス出版、1,854円、1993年

足立区で行われた「もてる男の条件」(1990/9/10〜11/19,月曜夜7:00〜9:00)と「男と女の現在」(1991/9/26〜12/12,月曜夜7:00〜9:00)の講師陣11名が、 講座の再現ではなく 新たな章立てに基づいて執筆した一冊。講座での参加者の率直な感想も添えられていて素晴らしい。 たじりけんじの「わたしの脱会社人間宣言」収載。

広岡守穂 『男だって子育て』
岩波新書、1990年

矢ケ崎 洋 『育児の担い手としての男性』
1996年

著者の千葉大学教養学部の卒業論文。育児休業法の背景や、育児に積極的な10人の男性へのインタビューも収録されている。非売品なので興味の有る方は育時連までご連絡を。


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