ワークショップ:「男は忙しいから家事できない??」
【第一部】 パネリスト:井口由美子 |
a |
先ほど調査報告をした井口です。家族は夫と子ども2人です。 さて、このような状況となったのは何のおかげだったかと考えると、話し合いのおかげではないと思います。百世さんのお話に「言い争うのは無駄」というお話がありましたが、全くその通りだと思います。うちはケンカの下手な夫婦でして、今までケンカは数えるほどしかしていません。まだ子どもがいない頃、些細なことでケンカして、1週間全く口をきかず、お互いを無視して暮らしました。狭い家でそんな暮らしをするのもなかなか大変でして、なるべくケンカをしなくなりました。また、ケンカしたことによって調整される行動量はさして大きくありません。 では何のおかげかというと、私が「経済力は手放さない、絶対仕事を続ける」と固く決意していたことによると思います。私には、自分が仕事をするというのは生活の前提条件でして、その上で「どう暮らす?」という工夫があります。当然結婚の前提条件でもありました。 ルイジアナ大学の賀茂美則さんという方が、「家族革命前夜」という本の中で「家事分担は”資源”と”権力”と”イデオロギー”の主戦場」と書かれています。「私は仕事を続けるからね」を結婚の前提としたところで、性役割分業という”イデオロギー”はクリアされており、経済力を維持しましたので”資源”もほぼ均衡しています。これがそこそこの共有状況を実現できたカギであると思います。 さて、こうしてそこそこ家事・育児を共有して生活はまわっているのですが、今度は別なことが問題となってきております。それは「求める家事・育児レベルの差」です。夫は生きていられれば、家の中がぐちゃぐちゃでも気にならない人です。私は部屋はスッキリ片づいて、キレイな状態であって欲しい。夫の要求レベルに合わせると、私は部屋が汚くてイライラして、キレそうになります。しかし私の要求レベルに合わせると、私が掃除・片づけをほとんど引き受けて「一人でやらされている」というストレスをためるか、夫も掃除・片づけを受け持って「必要のない家事をやらされている」ストレスがたまるか、どちらかです。どちらにしてもハッピーな状態ではないわけで…。この解決策は今だ見出せていません。 こういうことは、夫婦に限らず人が2人で暮らすときには必ず起きることなのだろうと思うのですが、身の回りでは夫の要求レベルが妻より低く、それでもめる例が多いように思います。やはりそこまでの育てられ方とか、性差のあることなのかなぁ、とも思っています。 |
目次に戻る |