シンポジウム「次世代育成支援対策を考える」

−「男性を含めた働き方の見直し」ってできるのか?−

 次世代育成支援対策推進法の成立に伴い、自治体も企業も次世代育成支援策の実効ある「行動計画」の策定とその実現が求められています。このような中、次世代育成支援策の柱の一つとなっている「男性を含めた働き方の見直し」や「男性の育休取得促進」等の達成に向けて、何が重要で、何をどうすればいいのかを参加者と共に考えました。
 日時 : 2004年2月28日(土)
 場所 : 渋谷勤労福祉会館
 基調講演
  広岡 守穂(中央大学教授)
  「素敵な挑戦!男性も育児!−次世代育成支援策とは?−」
 パネルディスカッション
  広岡 守穂(中央大学教授)
  西川 隆久(厚生労働省少子化対策推進本部事務局)
  富永 誠治(育時連・コーディネータ)
  大越 将良(育時連)

参加者の感想
大越 将良(育時連)

 広岡守穂さんの基調講演は、ご自身の来し方を淡々と振り返られて、そのあまりの自然な告白に思わず聞き入ってしまいました。学生時代に親の反対を押し切って結婚した手前、弱みは見せられないと、次第に追い詰められていくお連れ合い。その幼子を抱えた日々の閉塞感への共感が足りなかったご自身と、お連れ合いとのすれ違いざまは、リアリティに満ちて、わたし自身の経験とのオーバーラップの多さに少し驚きつつ、感情移入してしまいました。

 新幹線での、泣く子の対応に右往左往する母に対するある紳士の理不尽な非難に、「このごろの社会は冷たすぎる。こういう人が企業のお偉方にいるというのが情けない。批判の手を緩めてはいけない。」と、ここだけは声を荒げていたのが印象的でした。

 仕事A、仕事Bの考え方も面白い話しでした。会社などに時間を預けて生活の糧としてする従来の仕事を「仕事A」とし、講演や自己実現などを「仕事B」とし、Aの時間を短くして、Bの時間を担保できるような生き方をしたらどうか。AでもBでもない時間が従来の余暇になるというような考え方でした。これは、もっとうけるかと思っていたが、さっぱり受けないとのオチもついていました。たしかに、生活時間へまで食い込んで、長時間労働する企業人が多い昨今、Aの長さにばかりこだわった生き方をしているのが普通なのでしょうが、Bの活動も広義には十分仕事なんだと、発想を転換すれば、豊かな生き方への道が開け、かつ早く帰る自分への後押しになるでしょう。わたしも早速この発想法を借用して、翌週会社休んで、アジア女性基金の戦争と女性をめぐるシンポ(上野千鶴子さんや姜尚中[カンサンジュン]さんなどが出ていた)に、”お仕事B”でいってきました。(それにしても上野さんのツッコミはいつでもすごい・・・)

 厚生労働省の西川さんからは、平成13年に改正があった育児介護休業法が、短期間うちに平成16年にまた改正されるのは異例であると説明がありました。彼には、品川区の議員さん(行動計画の作り方)や、シングルマザーフォーラムのかた(パート、派遣の悲惨さ。まず育児休業などとれない。一人でも育てられるほどの賃金が必要。などなど)から、次世代支援法についていくつか質問が出てました。シングルへの支援という視点がないといわないけど弱いのは事実です。

 富永さん、そして松田さん。ほんとうにシンポの準備等々ありがとうございました。当日お手伝いしていただいたかたがた、本当にありがとうございました。中身のある良い会であったと思ってます。

 最後に、少しばかりの謝礼を、丁寧に辞退された広岡さんに、最大限の感謝を申し上げ、私の報告とさせていただきます。



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